Case Studies and Columns 症例紹介・コラム
症例紹介・コラム
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胆のう破裂 ~胆のう摘出術~
疾患の説明 各種検査の結果、胆のう破裂に伴う重度腹膜炎を起こしていることが分かりました。 胆のう破裂は、重度胆のう炎・胆のう内にゼリー状の内容物が過度に貯留する胆のう粘液のう腫・胆石による総胆管閉塞などが原因で起こります。 胆のう破裂は、肝臓酵素の上昇・黄疸・腹膜炎などを併発し、死亡率が高い疾患です。 血液検査・尿検査・レントゲン検査・超音波検査・腹水の貯留液検査などにより診断され、多くの場合、早急な手術が必要となります。 治療の内容 胆のうを摘出するための手術を行いました。開腹後、胆のうの状態を確認し、破裂部位を探します。 次いで胆のうを肝臓から剥離し、カテーテルを使用して、総胆管~十二指腸の通過を確認します。 その後、破裂した胆のうを摘出し、腹腔洗浄を行い、腹水排液のためドレーンを設置して閉創します。 手術後には、今後の治療に用いる抗生剤を判定するため、腹水や胆のう内容物の細菌培養および感受性検査を行います。 また、病態をさらに詳しく評価するために、採取した肝臓の一部を生検し、摘出した胆のうの病理検査を行います。 治療後の注意点 手術後は7日間の入院治療で、点滴・抗生剤・鎮痛剤・肝庇護剤などを投与し、ドレーンからの排泄が減少した時点でドレーンを抜去、退院となりました。 自宅では抗生剤や肝庇護剤などの投薬をして頂き、腹帯をつけて抜糸まで術創を舐めないように注意して頂きました。 感受性検査の結果により、後から抗生剤を変更する場合もあります。
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尿管結石 ~尿管結石摘出術~
疾患の説明 猫では腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石など泌尿器に関連した尿石症が多く認められます。 症状としては、元気と食欲の低下・嘔吐・腹部痛がよく見られ、ひどい場合には急性腎不全に進行して、けいれん発作を引き起こすこともあります。 診断には血液検査・尿検査に加えて、レントゲン検査・超音波検査・造影検査・CT検査などの画像検査が必要となります。 治療の内容 各種検査の結果、尿管にできた結石による急性腎不全と診断されました。結石を摘出するための手術を実施しました。 猫の尿管は非常に細いため、尿管結石摘出は難易度が高い手術となります。全身麻酔下で開腹後、目的の尿管にアプローチし、尿管結石を確認します。 尿管を切開して結石を除去し、細いカテーテルやガイドを使用して尿管の開通を確認した後、髪の毛よりも細い縫合糸で丁寧に尿管を縫合します。 尿管から尿の漏出がないことを確認し、腹腔内洗浄、閉腹します。 治療後の注意点 手術後は点滴治療を行い、7日間の入院で順調に回復して退院しました。 自宅では抗生剤の投与、排尿の状態と血尿の有無を確認して頂き、腹帯をつけて、抜糸まで術創を舐めないように注意して頂きました。 また、結石分析の結果により、今後は結石の再発予防のための処方食を与えて頂くことになりました。
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免疫介在性溶血性貧血 ~輸血治療~
疾患の説明 免疫介在性溶血性貧血とは、免疫の異常な暴走により、自身の赤血球が破壊され、重度の貧血に至る病気です。ふらつき・食欲不振などを起こし、最終的に死に至ります。 治療の内容 治療の方法として、免疫の暴走を抑える免疫抑制剤の服薬と、貧血が重度な場合には輸血を実施する場合があります。 この症例では、来院時に重度の貧血が見られ危険な状態にあったため、輸血を実施し、同時に免疫抑制剤の投与を行いました。 免疫抑制剤の効果があらわれるまで数日かかり、3日後に再度の輸血を行いました。 5日後に貧血の数値の改善が認められ、7日後に元気・食欲が回復し、退院されました。 治療後の注意点 数ヶ月から数年にわたり、服薬と定期的な通院が必要になります。重症の場合は残念ながら輸血や投薬の効果が乏しく死亡する例もあります。 ※貧血を起こす病気は免疫介在性溶血性貧血以外にも様々あります。適切な治療を選択するため、各種検査やそれまでの治療経過・投薬内容の記録が必要になります。 他院から当院に転院される際は、各種検査データとかかりつけ獣医師からの紹介状をご持参頂けますようお願いいたします。 ※輸血用血液の在庫は限りがあるため、輸血が行えない場合があります。
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歯周病 ~抜歯術・粘膜フラップ形成術~
疾患の説明 歯周病は、歯肉炎と歯周炎に分類されます。歯肉のみに炎症があるものを歯肉炎、歯周囲の骨まで炎症が及んでいるものを歯周炎と言います。 歯肉炎を放置しておくと、歯周炎へと進行します。歯周病の治療は早期発見が重要で、歯肉炎の段階で治療を行えば完治します。 しかし、歯周炎にまで進行した場合は、骨の喪失が見られ、喪失した骨を再生することは困難であるため、完治は難しくなります。 治療の内容 全身麻酔下で口腔内の精査と処置を行いました。普段から自宅でケアを行って頂いていたこともあり、肉眼所見上は比較的良好な状態でした。 しかし、レントゲン検査にて、左上顎犬歯から第2前臼歯までに及ぶ骨の喪失(写真の矢印部分)が見られました。 まず、すべての歯に対し、超音波スケーラーで歯石の除去を行いました。ついで、歯周ポケット内の歯石を除去しました。 歯石の除去が終わった段階で、歯周病に罹患した歯を抜歯。 抜歯部分を洗浄・消毒。歯茎と粘膜を切開し、切開した粘膜を引き伸ばし(粘膜フラップ形成)、抜歯窩(歯を抜いたあとの穴)を覆うように閉鎖しました。 治療後の注意事項 処置後は、術創からフードのカスが入り込むと化膿の原因となるため、1週間は食事を肉のみに制限しました。
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異物誤飲 ~内視鏡下異物摘出術~
疾患の説明 おもちゃを含めた、食べてはいけないものを食べてしまうことを異物誤飲と言います。好奇心旺盛な子犬・子猫に多い疾患です。 治療の内容 一般的な処置の方法として、まずは催吐処置を行います。大きさや形状などの要因から催吐処置で吐かない場合には、内視鏡手術や開腹手術を行います。 この症例では、飼い主様が異物誤飲に気づき、すぐに連れて来ました。レントゲン検査を行い、異物が胃の中にあることを確認しました。かなり大きな物が写っています。 まずは、トラネキサム酸の副作用を用いた催吐処置を行いました。液体状のものは嘔吐しましたが、おもちゃは出てきません。 そこで、飼い主様と相談し、麻酔下で内視鏡手術を行うことになりました。 内視鏡では取れる可能性が低い大きさのものではありましたが、飼い主様より「開腹は避けたい」との希望があり、最善を尽くすとお話ししての手術です。 血液検査を行い全身状態に大きな異常がないことを確認してから、全身麻酔を行いました。内視鏡を口から挿入するとすぐに、コングの1段目を発見することができました。 いくつかの異物除去鉗子を用いましたが、形状と大きさから摘出することができません。 そのため、コングの中央に穴が開いている構造に着目して、糸をその穴に通すことにしました。 コングに通った糸を口の外で保持し、内視鏡で観察しながら慎重に胃から引き上げ、摘出することができました。 治療後の注意点 麻酔中の様子および覚醒後の体調も問題が無かったので、その日のうちに退院となりました。 大きな異物を摘出したために食道にわずかな炎症が起きましたので、粘膜保護剤を3日分処方しました。 今回は何とか内視鏡で摘出することができましたが、異物誤飲は繰り返しやすい疾患であり、再発を防ぐためには飼い主様の注意が必須です。 生活環境の整備など、再発を防ぐための指示をし、定期的に様子を伺うこととしました。
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