CASE

歯周病

Case08.歯周病 ~抜歯術、粘膜フラップ形成術~

12歳2ヵ月の犬。口臭が気になるとのことで来院されました。
診察の結果、歯石および歯肉炎の程度はともに軽度でしたが、中程度の口臭がありました。

疾患の説明

歯周病は、歯肉炎と歯周炎に分類されます。歯肉のみに炎症があるものを歯肉炎、歯周囲の骨まで炎症が及んでいるものを歯周炎と言います。
歯肉炎を放置しておくと、歯周炎へと進行します。歯周病の治療は早期発見が重要で、歯肉炎の段階で治療を行えば完治します。
しかし、歯周炎にまで進行した場合は、骨の喪失が見られ、喪失した骨を再生することは困難であるため、完治は難しくなります。

治療の内容

全身麻酔下で口腔内の精査と処置を行いました。普段から自宅でケアを行って頂いていたこともあり、肉眼所見上は比較的良好な状態でした。
しかし、レントゲン検査にて、左上顎犬歯から第2前臼歯までに及ぶ骨の喪失(写真の矢印部分)が見られました。

まず、すべての歯に対し、超音波スケーラーで歯石の除去を行いました。ついで、歯周ポケット内の歯石を除去しました。

歯石の除去が終わった段階で、歯周病に罹患した歯を抜歯。
抜歯部分を洗浄・消毒。歯茎と粘膜を切開し、切開した粘膜を引き伸ばし(粘膜フラップ形成)、抜歯窩(歯を抜いたあとの穴)を覆うように閉鎖しました。

最後に歯の表面を研磨し、処置は終了です。

治療後の注意事項

処置後は、術創からフードのカスが入り込むと化膿の原因となるため、1週間は食事を肉のみに制限しました。